映画「ラストゲーム 最後の早慶戦」
たまたま母校に用事があって出向いた時に、エキストラを募集していたのと、六大学野球ファンの間でちょっとだけ話題になっていた
「ラストゲーム 最後の早慶戦」
を見てきました。
上映時間が短かったので、無駄なシーンはなくコンパクトにまとめられていたのと、戦時中のお話であるにもかかわらず、淡々とお話が進行し、戦争の悲惨さとか出征兵士を見送り失った家族の感情を見ている側に押し売りしていないところに好感が持てたのと、戦争の血なまぐさいシーンは登場しませんでしたので、早慶戦に日頃馴染んでいる方でしたら、この映画、心に染みるものだったと思いますが、果たして、この映画、早慶戦とかに興味ない方々が見たらどのような感想を持たれるのかも少し気になりました。
映画の中で、大学野球を語る上でははずせない飛田穂州(学生野球の父的存在であり、高校野球でおなじみの「一球入魂」という言葉の生みの親)さんの人間性がとても良く描かれていました。 映画では、柄本明さんが演じる茨城訛りで話す朴訥な飛田穂州さんの野球部の学生への思いやりの気持ち、愛情が非常に良く描かれていました。 余談ですが、今年の6月には穂州さんの母校、現在の水戸一高で、創立130周年の招待試合があり、塾高と早稲田実業が招待され、高校野球の早慶戦、「早実 - 塾高」の試合に加えて、対水戸一高との試合が予定されていましたが、降雨のため中止となってしまいました。
映画では、一見、「最後の早慶戦をやりましょう」と、早稲田の当時の総長にではなく、野球部顧問の飛田さんに申し出た慶應の塾長の小泉信三さんが、選手に非常に理解のあるリベラリストであって、対する早稲田の総長田中穂積さんは、小泉さんの申し出を受けた飛田さんの「早慶戦開催願い」にも頑として首を盾に振らない融通の利かない人間ととられがちですが、映画の中でも語られているように、当時の早稲田にはそうせざる得ない事情(歴史学者であり早大教授の津田左右吉さんが「神話」否定で、不敬罪か何かで起訴されたり軍部に睨まれていたことなどなど)があってのことで、大学を守る総長の立場としては、波風立てたてたくないという気持が理解出来ました。 逆に、慶應の学内にはそういう困難な事情はなかったのかと疑問にすら思えました。 映画の中で慶應側の事情は全く語られていません。 ちなみに小泉信三塾長は、今年甲子園で大旋風を沸き起こした塾高のモットーでもある「エンジョイベースボール」とともに有名な言葉、「練習は不可能を可能にス」を唱えた人として有名ですが、リベラリストである一方、共産主義には否定的な立場をとっておられました。
慶應の学生の中には、「慶早戦」と言ってる人もいますが、世間では「早慶戦」で通っているので、私自身は、わざわざ逆さにしなくても「早慶戦」でいいんじゃないの?と思っています。 当時の小泉塾長も、相手校を敬う気持ちから「早慶戦」とおっしゃっていたそうですから。
この映画であえて印象的な人物は?と訊かれれば、私的には飛田穂州さんでした。 1943年、東条内閣によって文科系学生の徴兵猶予も停止されただけに、最後に早慶戦をさせてあげたいという思いから、小泉信三塾長の申し出を受け、軍部の弾圧や大学総長の反対にも屈せず、実現に向け、どんな困難・反対にも屈せず自己の信念を貫き、早慶戦実現へ向けて奔走し、ついには早稲田総長の心を動かし、総長が辞職を覚悟で賛成するところまでこぎつけたのも、飛田さんのお蔭といっても過言ではありません。
最後の早慶戦のシーンは、俳優さんだけでなく、元甲子園球児やプロ野球独立リーグの信濃グランセローズの選手も混じっていたようなので、かなりレベルの高い臨場感のある仕上がりになっていたと思います。
ところで、塾高の初戦の相手で長野県の古豪「松商学園」の校訓は「自主独立」(周りの思想や雑音に左右されず、自らの描く崇高な理想に向かって努力を傾け、そして進んでいく心)だそうですが、福澤諭吉の「独立自尊」の精神に何となく似ていると思っていたところ、松商学園の創立者である木澤鶴人翁は福澤諭吉の門下生だったとのことです。 それを聞くと、古豪同士の対決というだけでなく、松商学園との対戦は神様のいたずらだったのかな?とも思いました。
その松商学園、私にとっては「白線流し」の松本北高校なのですが、「白線流し」の主題歌
が You Tubeにアップされていました。 主題歌が流れている時の映像は全て松商学園です。 松商学園の試合前の主将インタビューの時も、白線流しの時の校庭だったので、ずっと懐かしい気持ちで見ていました。
私自身は、今は亡きヒース(レジャー)の鬼気迫るジョーカー(映画「ダークナイト」)を見た直後の観賞だっただけに、「ラストゲーム」は決して悪い内容ではなかったのですが、印象がとても薄いものになってしまいました。 もう少し間を置いて見た方が感動に浸れたかもしれません。 とにかく「ダークナイト」の衝撃があまりに大きくて・・・・(天国のヒース、本当にオスカー受賞してしまうかも?)
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